あけまして

謹賀新年。

正月も終わり、帰路は渋滞の車内でこれを書いている。

今年の正月は同居人も、母方の実家に連れてきた。慣れない関東という環境で、しかも埃まみれの家の中で、知らない人と居るというのは酷く疲れたと思う。隣で寝ているもの。

秋田からわざわざ御苦労だ。

母親の兄弟は相変わらず同じベッドでお祖父ちゃんと3人とも寝ている。

元日には老人ホームからお祖母ちゃんも来て、御節を啄いた。

お祖母ちゃんは介護職用の御節で、ムースにしたものを型に填めたもので、舌で潰せる食べ易いものだった。とても美味しかったのか、ぺろりと平らげてしまった。あまりにガッつくめのだから、此方(こっち)がびっくりしてしまう程だ。

お祖母ちゃんの容態は譫妄が酷く、夢と現実の境目が曖昧なのだけれども、ご飯を食べる時だけはかなり確りしている。

箸もまだ使えるし、確り噛んで食べようとする。

食い意地は健在で、もっとくれもっとくれといくらでも食べようとする。

どれだけボケたとしても、そこは変わらない。

そして好き嫌いも。

ひとつ残った品はやっぱり黒豆だった。

紅白にライトアップしたスカイツリー。

マンションの灯りが疎らに闇を掻き消している。

「ピー。1340円です。」

御節を食べるにあたって、海老は避けて通れないのだけれども、同居人は甲殻類アレルギーだから食べれない。

お祖父ちゃんにも叔父さん達にも確り注意したのだけれども、痴呆のお祖父ちゃんはお構いなしだ。忘れてしまうのだから仕方ないのだけれども、困るね。

目を離した隙に同じ菜箸で半分ほど掘り返してしまった。

本人はやってないと言張るのも、痴呆の症状だから仕様がない。

庭に目をやるとシルバーセンターから来た翁が剪定した木は枯れかけている。

教師だったお祖父ちゃんの教え子が、毎年恒例の同窓生の墓参りの迎えにきた。

こうも死に逝くというのは難しいものなのかと時々思う。

そんな正月だった。

本年もどうか宜しゅうお願い申し上げます。


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